契約書にはいろんな題名が付けられますが、日本国内の契約については、題名が内容に影響を及ぼすことはありません。
基本的に題名は関係ありません。題名が内容に影響を及ぼすことはありません。英文の契約ですと、「Contract」(「Agreement」)と、「Letter of Intent」では契約書そのものの効力に違いが生じます。日本の場合はこのような違いはありませんから、「契約書」と書こうが「覚書」と書こうが「念書」と書こうが同じことです。重要なのは中身です。
よく覚書と書けば後で変更できる、あるいは効力が弱いと解釈している人がいますが、そのようなことはありません。契約は契約です。覚書だろうが何だろうが、契約の効力に違いはありません。
必要以上に題名にこだわる方を見受けますが、重要なのは内容です。どう題名を付けて良いかわからない場合は単に「契約書」とすれば足ります。
契約書作成の目的は後日の紛争を予防する意味だけではありません。作成途中で双方の勝手な思い込みが判明したり、事業そのものの検討が足りないことに気が付く場合もあります。
契約書には後日の紛争を予防する、つまり、「言った、言わない」という事態を防ぐ意味がありますが、それだけではないのです。
双方が何らかの契約をする場合、当然、それぞれの思惑があります。人は誰でも無意識に自分に有利に解釈するものです。例えば、食品の売買で考えましょう。買う側は、商品が傷んでいれば、返品できるのが当たり前だ、と考えます。しかし、売った方としては、すぐに言ってこなかった場合は、相手方の保管方法に問題があって悪くなったに違いないから、当日でない場合は、返品に応じることなどできるわけがない、と考えます。
契約書がなければ、あるいはあっても返品について定めをしなければ、双方自分に有利に思いこんだまま業務を行うことになります。実際、返品という事態が発生したときに、初めて「決めておくべきだった」ということに気が付きます。これでは遅いのです。
私たちが契約書を作るときには、「こういう場合はどうなるのか」ということを常に考えます。特に悪い方向での想像力が要求されます。そのような疑問を一つ一つ確認していく中で、「想定していなかった。それは決めておくべきだ」とお客様が気づかれる場合が多くあります。業務の内容、性格、お互いの立場、特殊な事情などを勘案して、一つ一つ詰めていくことになります。ですから、ひな形では重要な契約書には対処できません。ひな形は所詮、ひな形です。
事業そのものに違法性がないか、あるいは、同業他社から訴えられたり、異議を申し立てられたりする可能性があるのかないのかも合わせて検討します。
当方は中小企業診断士でもありますので、事業そのものの採算性や、価格設定の方法、取引の方法など、単に法的な文書を作るという側面だけでなく、事業そのものの検討も合わせて行います。多くの業種に対する知識や経験がありますので、「事業そのものに対する理解」が他の事務所とは決定的に違います。現場を知らないで良い契約書を作ることはできません。
収入印紙が貼ってなくても、契約の効力には影響を及ぼしません。勿論、税務上の問題はあります。
■収入印紙を貼るか貼らないかは税法上の問題です。仮に貼ってなくても、契約の効力そのものには関係ありません。効力発生要件ではありません。もちろん、「印紙が貼付してなければ本契約は無効とする」と書いてあれば別ですが、そのようなことはまずありません。
■収入印紙に消印がしていない場合も同様です。契約の効力には関係ありません。
■収入印紙に消印をするのは、単にはがして再度使用することを防ぐ意味です。ですから、双方契約書で押した印鑑で消印する必要はなく、単にボールペンで×をしても問題ありません。一方当事者の印鑑だけでも勿論問題ありません。そもそも印鑑を押す義務はありません。
■収入印紙は当事者のどちらが負担すべきでしょうか?これは定めがありませんので、当事者が決めればよいことです。金額が大きくなる場合は、契約書の中にどちらが負担すべきか書いておくことをお勧めします。どのような負担割合にしてもかまいません。私的自治にまかされています。
契約書の作成後に改ざんした場合、これがすぐにわかるように押す印鑑のことです。契印の有無も契約書の内容には影響を及ぼしません。
■例えばA4用紙2枚で契約書を作成したとしましょう。ホッチキスで止めて、通常は2枚目の最後の名前のところに双方捺印するはずです。これで問題はありません。しかし、後日、一方の当事者が1枚目の文章の一部を変えてしまいたいと思った場合は、これを差し替えてしまうおそれがあります。これを防ぐために考え出されたのが契印です。1枚目と2枚目の境目にまたがるように印鑑を押します。こうしておけば、差し替えた場合すぐわかります。両当事者の印鑑を一つづつ押しておけば、片方が仮に差し替えたとしても相手の印鑑は手に入りませんから、偽造・改ざんすることは困難になります。
■契印する場所は、上でも真ん中でもどこでもかまいません。契印する意味を考えればわかります。あくまで改ざん防止の目的が達成できればよいわけです。
■契印は何らかの法的根拠があるものではありませんから、サインであってもかまわないはずです。ただ日本では印鑑が用いられることがほとんどと思います。契印に使用する印鑑についても何ら規定がありませんので、通常は契約書に押してある印鑑を使用すると思いますが、別の印鑑であっても双方が同意すれば問題はありません。繰り返しますが、改ざん防止の目的が達成できればよいのです。
■サイトなどでは、契印は契約書に押した印鑑と同じでないといけないと書いてあったりしますが、そのような根拠はありません。別の印鑑で契印してあることが、すなわち改ざんの証拠になるのでしょうか?契印がなければ、改ざんしたことになるのでしょうか?そんなことはありません。実務上そうすることが多いというだけのことです。同じでないとダメ、と書いてあると、違う印鑑の場合は契約書そのものが無効になるのではと考えてしまいそうですが、そのようなことはありません。
■全員が契印「しなければならない」、と書いてある場合もありますが、これもそのような規定はどこにもありません。数人の当事者がいて、一人だけが契印し、他の当事者が契印していないからといって、その契約が無効になることなどありません。よく考えていただきたいのですが、全員の契印がない場合、それは改ざんされたものになるのでしょうか?改ざんの有無=契印の有無ではありません。問題は、実際改ざんされたかどうかです。全員の契印があっても改ざんすることは可能です。綺麗に砂消しゴムで消したり、印鑑を他の書類から写し取ってくることもできます(そのようなテクニックを利用して不動産犯罪が行われたりするのです)。仮に誰かが改ざんしたとしても、他の人は改ざん前の原本を所持しているわけですから、事はそう簡単ではありません。最終的には裁判所が改ざんの有無を判定することになることを理解して下さい。改ざんが恐ろしければ、素直に公正証書にすれば良いだけのことです。
■ただ、実務上、数人の契約当事者がいた場合、全員で契印するのが普通ですし、契約書に押した印鑑で契印するのが普通です。私もそうしています。敢えてそれ以外の手段をとる必要性はありません。但し、実務上そうしているということと、法的な契約書の有効性がどうか、あるいは改ざんの可能性があるのかないのかとは区別して考えるべきであると考えます。契印については、形式にこだわりすぎて、本質を考えていないケースが多いと思います。
(参考)不動産登記規則
(契印等)
第四十六条 申請人又はその代表者若しくは代理人は、申請書が二枚以上であるときは、各用紙のつづり目に契印をしなければならない。
2 前項の契印は、申請人又はその代表者若しくは代理人が二人以上ある場合は、その一人がすれば足りる。ただし、登記権利者及び登記義務者が共同して登記の申請をするときは、登記権利者又はその代表者若しくはその代理人及び登記義務者又はその代表者若しくはその代理人の各一人がしなければならない。 (以下略)
割印と契印は違うものです。契印は改ざん防止、割印は2つの書類が同時に存在していたことを証明します。
■割印で最もよく見かけるのは、領収書などのキリトリ線上に押されるもので、領収書本体と控えが一対であったことを証明するものです。
■つまり、二つの文書が元は一つであったこと(関係があったこと)を証明するために用いられます。契印ほど使用される場面は少ないと思います。
■割印と契印は、混同して使われることが多いと思われます。どのような意味で使われているのか、確認しましょう。契印という用語については登記法に出てきますから、契印のことを割印と呼ぶのは厳密には間違いと言えます。
(不動産登記規則)
第四十六条 申請人又はその代表者若しくは代理人は、申請書が二枚以上であるときは、各用紙のつづり目に契印をしなければならない。
捨印は、登記法上、間接法と呼ばれる修正方法を行う場合に契約書の余白に押される印鑑のことです。予め余白に捨印を押した場合、勝手に中身が修正されてしまうおそれがあるので、十分注意して下さい。軽々しく押してはいけません。
これも不動産登記規則第45条第2項に規定があります。
2 前項の書面に記載した文字の訂正、加入又は削除をしたときは、訂正又は削除をした文字の前後に括弧を付して、その範囲を明らかにし、かつ、訂正、加入若しくは削除をした文字の字数を欄外に記載し、その欄外の字数を記載した部分への押印又は当該訂正、加入若しくは削除をした部分への押印をしなければならない。この場合において、訂正又は削除をした文字は、なお読むことができるようにしておかなければならない。
■不動産登記規則は不動産登記申請の場面で適用されるものですから、一般の契約書には直接適用があるわけではありません。しかし、実務上、この方法が準用されて使われていると考えて下さい。
国際的な契約を締結する場合は、英文による契約書を作成することになります。必ずしも英文にしないといけないという決まりはありませんが、互いに英語を母国語としない場合は英語を使用することになります。
英文契約書の作成は、英語の能力よりも、国際的な取引に関するリスク感覚の方が遙かに重要です。
■日本は世界的に見て、例外的にきちんとしている国です。基本的に約束は守りますし、嘘は言わないものです。
ところが、日本以外の国は全く逆です。約束は守りませんし、平気で嘘をいいます。勿論相手によりますが、前提が全く異なっていることを認識する必要があります。
■国際的には日本(企業)は金持ちと思われていますし、騙してお金を手に入れたいと考えている輩は沢山存在しています。
■そもそも国際的な取引で問題が起きた場合、裁判に訴えるとか、あるいは仲裁機関に訴えるとか、現実的には無理と考えるべきです。もちろん仲裁(Arbitration)に関する規程は盛り込みますが、ほとんど意味はありません。おおざっぱに言って、契約書を守ってくれる保証すらありません。
■このような全く異なる環境で業務を進めることになりますので、日本国内の取引とは異なる心構えが必要になり、単に英語が出来るということでは全く不十分です。逆に言うと、英語はそれほどできなくても問題ありません。
■当方では、取引内容をお聞きした上で、取引のどこにどのような問題がありうるか、リスクはどこにあるか、それを避けるためにどのような仕組みを作るか、という事業内容そのものについて助言し、お客様といろいろ相談しながら、あるいは考えて頂きながら徐々に作成していく、という形をとっています。
英文はなるべく明快に、誤解が生じないことが重要ですので、本人すらもわからないような堅い表現(例文集にあるような)はなるべく使わないようにし(使用せざるを得ない事も多いですが)、かといって口語調も困りますから、法的な用語を使用すべきところはきちんと使用する、という方針で作成しております。
お客様から契約書作成のご依頼を受けた場合の流れをまとめてみました。
①まずはお客様がどのような業務を行っていらっしゃるのか、詳しくお聞きします。業務内容を理解せずに作成することはできないからです。
②今回どのような取引をされるのかをお聞きします。
③相手方がどのような業者なのかをお聞きします。
④契約書を作成する目的についてお聞きします。
⑤当方で取引に関係する法令を確認します。取引についての法的規制などについてチェックします。
⑥取引そのものについてご提案をしたり、収益性など事業面のチェックを行います。
⑦契約書案を作成します。メールかFAXにて契約書案を提示します。当方ではひな形を利用せず、すべてゼロからオーダーメイドにて作成します。ひな形の空白に名前を入れて終わりという作り方は致しません。ご希望があれば、契約書の各条項にコメントを入れてわかりやすく説明いたします。
⑧相手方と交渉して頂きます。修正や追加を行い、最終的に確定します。基本的にPDFファイルにしてお送りします。
⑨捺印、印紙税の納付を行って頂き、契約成立となります。
※一端契約した内容を後日変更したり、修正したりする場合の変更契約書の作成も勿論可能です。
819-0031 福岡県福岡市西区橋本2-8-15
高橋経営コンサルティングオフィス
高橋社会保険労務士オフィス
高橋行政書士オフィス
高橋PCシステムオフィス
info@t-office.biz (本当は半角です)
FAX 050-3488-2375
お問い合わせはメールでお願い致します。
(初回相談無料)
高橋経営コンサルティングオフィス update 2023-06-28 / Copyright 2010 Takahashi & Co. All Rights Reserved.